奨励対象一覧

欧州連合青少年オーケストラ

  • 選考担当: エドワード・ヒース国際顧問

欧州統合の象徴的な存在として、ヒース元英首相らの尽力で、欧州議会の承認を経て1978年に誕生。創設音楽監督はクラウディオ・アバド(2003年世界文化賞受賞者)。13歳から23歳の140人で構成される。オーディションは毎年行われ、合格者は夏休みなどを利用して、世界最高水準の指揮者から指導を受け、コンサートを行う。このオーケストラ出身者はすでに3000人を数え、その90%がプロの道に進み、欧州音楽界の中核となっている。奨励金は2003年、東ヨーロッパ諸国への親善ツアーに充てられた。

若手映画監督研修塾「レジデンス」(フランス)

  • 選考担当: レイモン・バール国際顧問

カンヌ映画祭の関連団体であるパリのシネ財団を運営母体に2000年に設立。世界中の応募者から年2回、6人の若手の映画監督を選び、パリで宿舎と生活費を4ヶ月半提供する。選考はフランスの映画監督、オリヴィエ・アサイヤス氏を選考委員長に7人の映画関係者が行う。研修生は「レジデンス」で共同生活を送りながら、脚本を執筆したりプロデューサーを見つけたりと、映画制作の準備を進める。奨励金は2000年と2001年の研修生の作品配給のための費用に使われた。

アルスター青少年オーケストラ(北アイルランド)

  • 選考担当: エドワード・ヒース国際顧問

プロテスタントとカトリックの対立が激しい北アイルランドで、クラシック音楽を志す青少年に高水準の訓練の場を提供するため、1993年に発足。毎年、北アイルランドの青少年オーケストラの中から、14歳から21歳の若者をオーディションで選び、8月に10日間の集中トレーニングと2回のコンサートを開く。2001年、奨励金ではじめてのイギリス本土研修・コンサートツアーを行った。また、スコットランド・グラスゴーで行われた英国青少年オーケストラ・フェスティバルにも参加した。

キューバ国立芸術大学

  • 選考担当: デイヴィッド・ロックフェラー・ジュニア国際顧問

音楽、造形美術(絵画、彫刻、保存修復)、舞台芸術(演劇・ダンス)、映像芸術(写真・映画・テレビ)の4学部からなる総合芸術学校。1976年創立。学生数約1000人。キューバ人建築家のリカルド・ポロによって建てられた校舎は、ラテン・アメリカ近代建築の中でも極めて重要な文化財とされる。ラテン・アメリカ諸国の芸術教育機関のなかでも最優秀といわれ、個性教育、キューバ民族文化の保持などに力を注いでいる。奨

励金は主に演劇・舞踊学科の活動のための照明、音響機器の購入に充てられた。

ポーランド国立映画テレビ演劇学校

  • 選考担当: ヘルムート・シュミット国際顧問

「ポーランドの映画文化をつくろう」と、ポーランドの映画関係者が1948年に創設。政治的に芸術家に厳しかった時代にも、アンジェイ・ワイダ(1996年世界文化賞受賞者)やロマン・ポランスキーなど世界的な映画監督を送り出してきた。監督、カメラ、製作、俳優の4学科に250人が学ぶ。奨励金は学生による映画制作に充てられた。シナリオを学内で公募、ボスニアからの留学生の作品「雨のにおい」が選ばれ、1999年に映画化され、数々の映画祭で上映された。

ハノイ国立音楽院(ベトナム)

  • 選考担当: 中曽根康弘国際顧問

1956年創設のベトナム最初の音楽専門学校で学生数は1000人。ベトナム戦争中も海外の奨励制度を利用して留学生を送り続け、若手音楽家の育成に努めた。奨励金は100人編成のオーケストラを誕生させる計画に対して贈られた。パリ在住の指揮者、矢崎彦太郎氏をハノイに招請、特別指導を受けた後、オーケストラは1998年、ハノイ、フエ、ホーチミンの3都市で巡回公演を行なった。公演ための団員の宿泊費、交通費、衣装なども奨励金で賄った。1999年には文部省の招待で来日、海外初公演を行なった。

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