マウリツィオ・ポリーニ

Maurizio Pollini

プロフィール

誰もが認める現代最高のピアニストの一人。ショパンなどロマン派や古典の演奏で定評があるが、現代音楽の語り部の使命も果たす。「建築や絵画などと違い、現代音楽は生活の一部になっていない」とルイジ・ノーノやピエール・ブーレーズら20世紀以降の音楽をレパートリーに組み入れ、披露し続ける。5歳でピアノを始め、18歳で出場したショパン国際ピアノコンクールで審査員全員一致での優勝。一時、演奏活動から遠ざかるが、1968年の再デビューで世界にセンセーションを巻き起こし、以後、ピアニストの頂点の座を保ち続ける。ベートーヴェンのピアノ・ソナタの全曲演奏や、自ら企画した「ポリーニ・プロジェクト」での新旧作品を並べた個性的なコンサートが評判になった。日本では1974年の初公演以降、昨年までに計16回公演しており、今年も10月17、23日、11月3日に東京公演を行う。

詳しく

  世界の聴衆を魅了し続ける現代最高のピアニストの一人。ショパンなどロマン派や古典の演奏で定評があるが、その枠にとらわれず、現代音楽の語り部としての芸術的使命も果たす。
「建築や絵画などと違い、現代音楽は生活の一部になっていない。特に若い世代に音楽への関心を持たせる必要がある」
その問題意識は、ルイジ・ノーノやピエール・ブーレーズら20世紀以降の音楽をベートーヴェンともまったく区別せず、レパートリーに多数組み入れていることに表れている。
父は著名な建築家、ジーノ・ポリーニ。5歳でピアノを始め、1960年に18歳で出場したショパン国際ピアノコンクールで審査員全員一致での優勝。審査委員長のアルトゥール・ルービンシュタインが「技巧的にはわれわれの誰よりもうまい」と激賞したのは有名なエピソードである。
その後は演奏活動から遠ざかり、ベネデッティ・ミケランジェリのもとで研鑽(けんさん)を積む。1968年の再デビュー後は親友のクラウディオ・アバドらと共演し、卓越した技術と曲ごとに音調が変わる分析力、何より美しい音色が世界にセンセーションを巻き起こした。以後、世界のピアニストの頂点の座を保ち続けている。
若き日の怜悧な演奏から、円熟のピアノになりつつある現在も、「いかに作曲家の望む音楽に近づけるか」を意識し、譜面と忠実に向き合う。1993年のベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏や、1995年に自ら企画した「ポリーニ・プロジェクト」での古典作品と現代音楽を並べた個性的なコンサートが、世界的に評判になった。日本でも2002年に同プロジェクトで、9夜連続の演奏会を開き、大きな反響を呼んだ。2012年から、ベートーヴェンのソナタと4つの現代曲を組み合わせた新企画を始めるという。
録音でも、改めてショパンと向き合った『夜想曲集』(2007年のグラミー賞器楽部門など受賞多数)や、初のバッハ録音となった『平均律クラヴィーア曲集第1巻』(2009)など、意欲的にピアノを追究し続けている。
日本では1974年の初公演以降、ほぼ2年おきに計16回公演を行っており、浮世絵や漆器など日本文化にも造詣が深い。2010年10月17、23日、11月3日に東京公演を行った。



略歴

 

  1942
  イタリア・ミラノ生まれ
  1947   5歳より9歳までピアノをカルロ・ロナーティに、18歳までカルロ・ヴィドゥッソに学ぶ
  1959   ジュゼッペ・ヴェルディ音楽院(ミラノ音楽院)卒業
第一回エットレ・ポッツォーリ国際ピアノ・コンクールで優勝
  1960   ショパン・コンクールで優勝その後、演奏活動を休止、ミケランジェリやルービンシュタインに師事
  1968   復帰リサイタルでニューヨーク・デビュー、演奏活動を再開
  1971   ドイツ・グラモフォンで録音開始(ストラヴィンスキー『ペトルーシュからの3楽章』、プロコフィエフ『ピアノ・ソナタ第7 番』)
  1972   ノーノ作曲『力と光の波のように』の世界初演に参加、レコーディングも行う
  1974   初来日公演(日本公演=1976, 1978, 1981, 1986, 1989, 1991, 1993, 1995, 1998, 2001, 2002, 2004, 2005, 2006, 2009)
  1987   ベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲をクラウディオ・アバド指揮のウィーン・フィルとニューヨークで演奏
  1993-94   ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲を初めて演奏
  1995   ザルツブルク音楽祭で連続演奏会『ポリーニ・プロジェクト』を開始
東京でピエール・ブーレーズ・フェスティバルに参加
  1996   エルンスト・フォン・ジーメンス音楽賞(ミュンヘン)
  2002   東京で『ポリーニ・プロジェクト』の9夜連続演奏会を開催
  2007   グラミー賞(ショパンの「夜想曲集」で器楽部門)
  2008   ウィーン・フィルとのモーツアルト・ピアノ協奏曲CD発売
  2009   バッハ『平均律グラヴィーア曲集第1巻』CD発売
  2024   3月23日、イタリア・ミラノにて死去