授賞式写真

第15回高松宮殿下記念世界文化賞受賞者発表

2003年 7月 3日
第15回高松宮殿下記念世界文化賞 受賞者決定
指揮者のクラウディオ・アバド氏など5人

毎年、世界の優れた芸術家に贈られる高松宮殿下記念世界文化賞(財団法人 日本美術協会主催)の第15回受賞者が、7月2日(日本時間3日午前3時)、ローマ、東京など世界6都市で発表されます。
今年は、イタリアの指揮者のクラウディオ・アバド氏(70)、オランダの建築家、レム・コールハース氏(58)など5部門5人が選ばれました。
また、第7回を迎える若手芸術家奨励制度には、イタリア・トリノ市に本部を置く若手音楽家支援団体「デ・ソーノ音楽協会」が選ばれました。
7月3日午後7時、ローマの大音楽ホール「パルコ・デラ・ムージカ」で受賞者発表が行われ、同式典には日本美術協会総裁の常陸宮殿下、同妃殿下も出席されました。
また、授賞式典は2003年10月23日、東京・元赤坂の明治記念館で行われ、5人の受賞者にそれぞれ顕彰メダルと感謝状、賞金1500万円が贈られます。

第15回 高松宮殿下記念世界文化賞 受賞者
THE 2003 PRAEMIUM IMPERIALE RECIPIENTS

■絵画部門 :  ブリジット・ライリー Bridget Riley
(イギリス 72歳)

■彫刻部門 :  マリオ・メルツ Mario Merz 
(イタリア  78歳)

■建築部門 :  レム・コールハース Rem Koolhaas 
(オランダ 58歳)

■音楽部門 :  クラウディオ・アバド 
Claudio Abbado (イタリア 70歳)

■演劇・映像部門: ケン・ローチ
Ken Loach (イギリス 67歳)

高松宮殿下記念世界文化賞
高松宮殿下記念世界文化賞は、財団法人 日本美術協会(総裁 常陸宮殿下、会長 瀬島龍三)が1988年、前総裁 高松宮殿下の「世界の文化芸術の普及向上に広く寄与したい」というご遺志を継ぎ、創立百年記念事業として創設したものです。国際理解の礎となる文化芸術の発展に貢献した芸術家に感謝と敬意を捧げ、その業績を讃えるもので、毎年、絵画、彫刻、建築、音楽、演劇・映像の5部門5人に感謝状、メダル、賞金各1500万円をお贈りしています。受賞者の選考は、6人の国際顧問が各国の叡知を集めた委員会を設けて候補者を推薦し、そのリストに基づいて日本の選考委員会が候補者を絞り、日本美術協会理事会で最終決定しています。
推薦委員会を主宰する国際顧問は、ウンベルト・アニエリ(伊フィアット会長)、レイモン・バール(元仏首相)、エドワード・ヒース(元英首相)、中曽根康弘(元首相)、リヒャルト・フォン・ワイツゼッカー(元独大統領)、ウイリアム・ルアーズ(米国国連協会理事長)の各氏です。国際顧問を退任されたヘルムート・シュミット(元西独首相)、ジャック・シラク(仏大統領)、デイビッド・ロックフェラー(米)、デイビッド・ロックフェラー・ジュニア(米)の各氏も、名誉顧問としてご協力いただいています。 受賞者発表の主会場は、パリ、ロンドンなど各国際顧問の拠点都市を毎年巡回し、受賞者や国際顧問を迎えて記念行事が行われます。授賞式典は10月、総裁の常陸宮殿下、同妃殿下のご臨席のもと、東京・明治記念館で行われます。

若手芸術家奨励制度
若手芸術家奨励制度は、次代を担う若手芸術家の育成を目的に1997年、創設され、毎年、世界文化賞受賞者発表と同時に対象者が発表されます。選考は国際顧問が担当し、選ばれた個人・団体には奨励金500万円が贈られます。

財団法人 日本美術協会
財団法人 日本美術協会は、1887年(明治20年)に設立された日本で最も歴史ある文化財団です。東京・上野公園内に上野の森美術館を運営し、美術展の企画・開催を行っています。
毎年行われる「上野の森美術館大賞展」「VOCA展」などは、若手芸術家の登竜門として位置づけられ、多くの才能を支援する一方、「ニューヨーク近代美術館展」など多彩な企画展で美術ファンに親しまれています。
また、協会は代々、皇室から総裁を戴いています。初代の有栖川宮熾仁殿下以降、有栖川宮威仁殿下、久邇宮邦彦殿下、高松宮殿下が歴代総裁となられ、1987年から常陸宮殿下が務められています。

絵画部門受賞者:ブリジット・ライリー
1931年4月25日、イギリス・ロンドン生まれ

ブリジット・ライリーは、眼の錯覚に訴える絵画「オプ・アート」の第一人者である。その作品は音楽的なリズムを感じさせる。1962年にデビューし、68年にはヴェネチア・ビエンナーレで国際賞を受賞。世界中で大規模な個展が開かれており、80年には東京国立近代美術館でも開かれた。

彫刻部門:マリオ・メルツ
1925年1月1日、イタリア・ミラノ生まれ

マリオ・メルツは、消費文化の非人間性や芸術のエリート性に対抗し、身の回りのありふれた素材を使う「アルテ・ポーヴェラ」(貧しい芸術)運動を代表する作家。作品も素材も多様だが、イグルー(エスキモーの半円球の氷の家)をモチーフにしたもの、無限に展開する「フィボナッチ」という数列をネオン管で表現するのが中心である。89年にはニューヨークのグッゲンハイム美術館で回顧展が、88年には名古屋で個展が開かれている。

建築部門:レム・コールハース
1944年11月17日、オランダ・ロッテルダム生まれ

レム・コールハースは1978年、都市の変貌をテーマにした著作「錯乱のニューヨーク」で大反響を呼んだジャーナリスト出身の異才の建築家。その思想と実践は常に世界の建築家を挑発してきた。オランダ・ハーグのダンスシアター、ラスベガスのグッゲンハイム美術館、プラダ・ニューヨーク店、フランス・リールの再開発など、各国で活躍している。福岡にネクサス集合住宅(93年)がある。2000年にプリツカー賞受賞。

音楽部門:クラウディオ・アバド
1933年6月26日、イタリア・ミラノ生まれ

クラウディオ・アバドは昨年まで12年間、クラシック音楽界の最高峰といわれるベルリン・フィルの芸術監督を務めた世界的な指揮者。豊かな音楽性tp楽譜の精緻な読みには定評がある。ミラノの音楽一家に生まれ、バーンスタインやカラヤンに見い出され、才能を開花させた。世界の主要オーケストラで指揮する一方、ウイーンなど主要オペラ劇場の音楽監督、主要音楽祭の芸術監督も務めている。来日公演は73年以来、多数。

演劇・映像部門:ケン・ローチ
1936年6月17日、イギリス・ナニートン生まれ

ケン・ローチは、労働者の日常や社会の矛盾などをドキュメンタリータッチで描きながら、ヒューマニズムを語れる監督として名声を得ている。オックスフォード大卒後、1963年にBBC入社。67年に初の劇場映画を発表、67年に初の劇場映画を発表、主な作品は69年「ケス」以来、90年「リフ・ラフ」、95年「大地と自由」、98年「マイ・ネーム・イズ・ジョー」、2002年「スイート・シックスティーン」など。カンヌなどの国際映画祭で受賞を重ねている。

第7回若手芸術家奨励団体:デ・ソーノ音楽協会(本部:イタリア・トリノ)
1988年に若手音楽家を支援するため、イタリア・ピエモンテ州や同州の企業の協力で、元フルート奏者のフランチェスカ・カメラーナさん(現芸術監督)が中心になって設立。海外研修の若手有望音楽家への奨学金の授与(15年間で117人)、奨学生による無料コンサートの開催、音楽論文・評論集や音楽家の写真集の出版も行う。作曲家ルイージ・ノーノや指揮者クラウディオ・アバドも同協会の活動に協力している。選考はイタリアのウンベルト・アニエリ国際顧問が担当した。



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