高松宮殿下記念世界文化賞は、日本美術協会によって1988年に創設されました。
絵画、彫刻、建築、音楽、演劇・映像の各分野で、
世界的に顕著な業績をあげた芸術家に毎年授与されます。
国境や民族の壁を越えて全世界から選ばれた受賞者は、
私たちの時代の文化芸術を代表する方々です。
受賞者たちのプロフィール、作品、そして世界文化賞の詳細についてご紹介いたします。

PulchrumCreatioInspiratio

The 35th
Laureates(2024)

第35回 2024年度 受賞者

絵画部門

ソフィ・カル

彫刻部門

ドリス・サルセド

建築部門

坂 茂

音楽部門

マリア・ジョアン・ピレシュ

演劇・映像部門

アン・リー 李 安

絵画部門

Sophie Calle

ソフィ・カル

フランスを代表するコンセプチュアル・アーティスト。他者へのインタビューを通して、詩的な要素を含む物語を探求し、写真と文字を組み合わせた作品を数多く発表してきた。見知らぬ人を自宅へ招き、自身のベッドで眠る様子を描いた《眠る人々》(1979年)は、自身が定めたルールに基づいて他者の人生に向き合った作品で、初の芸術作品となった。代表作には、遭遇した人を尾行してその行動を捉えた《ヴェネツィア組曲》(1980年)、拾ったアドレス帳に記載されている人物をたどった《アドレス帳》(1983年)、目の見えない人々に「美しいもの」について尋ねた《盲目の人々》(1986年)などがある。また、自分の人生も作品として取り上げ、日本滞在中の失恋体験による痛みを表現した《限局性激痛》(1999-2000年)は、20年後に再び日本で展示された。2012年にフランス芸術文化勲章コマンドールを受章。2024年11月に東京で展覧会を開催。

Painting

彫刻部門

Doris Salcedo

ドリス・サルセド

南米コロンビアの彫刻家、インスタレーション・アーティスト。暴力、喪失、記憶、痛みをテーマに、椅子など木製家具や衣類といった日常的な素材を再利用、再構築して創作。ボゴタのホルヘ・タデオ・ロサノ大学で美術を学び、1980年代初頭に渡米し、ニューヨーク大学大学院で美術学修士号を取得。半世紀以上続いたコロンビアの内戦が、創作活動の原点。全ての作品は暴力の被害者をモチーフにしている。代表作に英国のテート・モダンのタービンホールの床に亀裂を創出した《シボレス》(2007年)や、コロンビアの内戦終結を記念して37トン分の武器を溶かした金属からタイルを造り、展示館の床に敷き詰めた《フラグメントス(断片)》(2018年)などがある。現在、「故意に破壊される家屋について取り上げる」ために人間の髪の毛で作る作品に取り組んでいる。ヒロシマ賞、ナッシャー彫刻賞(米国)、野村アートアワード大賞など受賞多数。コロンビアからの世界文化賞受賞は初めて。

Sculpture

建築部門

Shigeru Ban

坂 茂

小学生から高校生までラグビーに親しんだ。高校卒業後に渡米し、南カリフォルニア建築大学で学んだ後、ニューヨークのクーパー・ユニオン建築学部に編入。大学の休学中、磯崎新氏の事務所で働いた。卒業後、帰国して事務所を開設。建築構造材として紙管を実用化した。1995年には国連難民高等弁務官事務所のコンサルタントとして、ルワンダ難民キャンプのシェルターを紙管で造ったほか、阪神・淡路大震災では仮設住宅を建設。これを機に、ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク(VAN)を立ち上げ、世界の災害地域で建築を通じて難民や被災者の救済を行う。また、うねる集成材と膜材の屋根の『ポンピドー・センター メス』(2010年)や『ラ・セーヌ・ミュジカル』(2017年)、『スウォッチ・オメガ本社』(2019年)など革新的な建築を相次いで設計。プリツカー賞受賞。平時と非常時の両方で建築家としての使命を果たしている。

Architecture

音楽部門

Maria João Pires

マリア・ジョアン・ピレシュ

ポルトガル出身のピアニスト、音楽家。3歳でピアノを始め、4歳で初舞台を踏む。リスボン国立音楽院でカンポス・コエーリョに師事し、作曲と音楽理論をフランシーヌ・ブノワから学んだ。その後、17歳で奨学金を得てドイツに留学し、ピアニストのローズル・シュミット、カール・エンゲルに師事。1970年、ベートーヴェン生誕200周年記念コンクールで優勝し、本格的な演奏活動を始める。教育活動や社会活動にも熱心で、祖国に「ベルガイシュ芸術センター」を設立し、子供たちのための合唱団や、プロ・アマを問わずアーティストのためのワークショップを開催してきた。若い頃に日本で演奏録音をした縁もあって、大の親日家で、NHK教育番組でピアノレッスンの講師をしたことがある。現在も、演奏活動の合間に世界各地で若手ピアニストを指導している。

Music

演劇・映像部門

Ang Lee

アン・リー 李 安

米国を中心に活動する台湾・屏東県(へいとうけん)生まれの映画監督。洋の東西を問わず、時代の奔流と向き合う人間を描く芸術性と、多くの観客を魅了する娯楽性を両立させた作品を手掛け、世界的な名声を得た。高校在学中に映画に夢中になり、台湾芸術学校(現・台湾芸術大学)卒業後、渡米してイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で演劇を、ニューヨーク大学大学院ティッシュ・スクール・オブ・ジ・アーツ(TISCH)で映画製作をそれぞれ学んだ。代表作は『グリーン・デスティニー』(2000年)、『ブロークバック・マウンテン』(2005年)、『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(2012年)など。米アカデミー賞監督賞、ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞、ベルリン国際映画祭金熊賞などを受賞。2013年に台湾政府から一等景星勲章。2021年にフランス政府からレジオンドヌール勲章。台湾からの世界文化賞受賞は初めて。

Theatre/ Film

The 27th
Grant for Young Artists(2024)

第27回 2024年度
若手芸術家奨励制度

News

最新情報

  • 2024.11.19

    第35回高松宮殿下記念世界文化賞授賞式

  • 2024.9.10

    【報道関係の皆様】2024年広報用素材のご利用に関して

  • 2024.9.10

    受賞記念講演会のお知らせ「建築講演会2024」「アーティスト・トーク2024」

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