第37回
2026年
絵画部門
Jenny Holzer
ジェニー・ホルツァー
略歴
1950年7月29日、アメリカ・ガリポリス(オハイオ州)生まれ
米国の現代アートシーンを代表するコンセプチュアル・アーティストの一人で、一般の人々にも直接届くよう、電光掲示板やLED(発光ダイオード)、ビルボードなどの媒体を使い、テキスト(言葉)を用いたアート作品で知られる。ニューヨークの事務所にも“GOOD DEEDS EVENTUALLY ARE REWARDED”(善行はいずれ報われる)といった文を使った作品が置かれている。
米中西部オハイオ州で育ち、真面目で謙虚といった、この土地の気質が「誠実に飾り気なく率直に伝える」という自身の表現の原点となった。1970年代にNYに移り、ホイットニー美術館のインディペンデント・スタディ・プログラムに参加。東西の重要な思想を網羅した膨大な量の読書リストを提示され、指定された本から学んだ思想を短文に要約する過程から、初期の代表作《Truisms(自明の理)》(1977~79年)が誕生した。欲望がいかに自身を破滅させるかを示唆した「私の欲から私を守って」というフレーズはとくに有名だ。
1990年、ヴェネツィア・ビエンナーレでアメリカ代表として女性で初めて個展を開催し、最高賞の金獅子賞を受賞。2001年、自身でテキストを書くことをやめ、詩人や政治家など他者のテキストを使うようなる。「自分一人では到底生み出せなかった多くのものを提供できるようなった」。とくに戦争や拷問の犠牲者といった「他者の証言」は、「適切で尊厳のある形の中に埋め込まなければならない」と慎重に扱っている。
2005年以降、膨大なアーカイブから黒塗りされた機密文書を探し出して表現する「レダクション・ペインティングス」シリーズを制作。また、2018年に米フロリダ州パークランドの高校で起きた銃乱射事件後は、銃暴力反対のメッセージを伝えるため、LEDトラックを走らせた。ソロモン・R・グッゲンハイム美術館(NY)で行われた個展のインスタレーションでは、らせん状のスロープに細長い電光掲示板を掲げ、さまざまな鮮烈なフレーズを表示した。
最近は、「ユートピア的でありながら陶酔的であるにはどうすればよいか」といった問かけにAIが言葉でどう表現して答えるかを探る試みも行っている。芸術がどうあるべきかを問うと、「最も優れた芸術は生き続ける理由を与えてくれる。やさしさや賢さ、役立つこと、思索的であること、そうした良いものへ人々を導くものなのかもしれない」。
2016年にフランス芸術文化勲章オフィシエ受章。2024年、米タイム誌で「世界で最も影響力のある100人」に選出された。日本では1991年、クリストとジャンヌ=クロード(1995年世界文化賞受賞者)による《アンブレラ・プロジェクト》(茨城県)に参加。1994年、日本初の個展『ジェニー・ホルツァー[ことばの森で]』(水戸芸術館現代美術ギャラリー)を開催している。
作品は主要な美術館に所蔵され、テート・モダンやブルックリン美術館、シカゴ現代美術館などで個展を開催。2024年には、35年ぶりにグッゲンハイム美術館で個展『Jenny Holzer: Light Line』を開催。2026年10月20日から2027年2月21日まで、オルセー美術館に招かれ、『J’ai vu(私は見た)』が開催される。
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展覧会『ジェニー・ホルツァー: ライトライン』でのインスタレーション 2024年
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ジェニー・ホルツァー《サバイバル》より 1985年
ニューヨーク・タイムズスクエア -
ジェニー・ホルツァー《ヴェネツィア・インスタレーション: 第一前室》1990年
第44回ヴェネツィア・ビエンナーレ -
《フォー・ジ・アカデミー》2007年
サンタンジェロ城(イタリア・ローマ) -
ジェニー・ホルツァー《MONUMENT》2008年
展覧会『ライク・トゥルース』でのインスタレーション -
ジェニー・ホルツァー《All Fall》2012年
テキスト: アメリカ政府公文書 -
ジェニー・ホルツァー《It is Guns》2018年
ニューヨーク -
ジェニー・ホルツァー《ヴィジル》2019年
ニューヨークのロックフェラー・センター -
ニューヨーク・ブルックリンのスタジオにて 2026年5月