授賞式写真

日本美術協会のあゆみ

総裁 常陸宮殿下

日本美術協会の歴史は、1879年(明治12)創立の「龍池会」に始まります。

明治初年の文明開化の荒波の中で、日本古来の美術は次第に顧みられなくなり、伝統工芸も危機にさらされました。明治天皇はこうした事態を深く憂慮され、わが国の芸術の振興を図るとともに、欧米諸国との交流は芸術をもって行うべしとの強い信念を持たれました。このような中で組織された「龍池会」は、明治政府の要人、佐野常民を会頭として、日本の美術行政を担う機関へと発展していきます。歴代総裁を皇族が務められ、皇室の文化活動の中心的な役割も担っていきます。

1887年(明治20)に「日本美術協会」と改称し、翌年、上野公園内に美術展示のための会館を落成、『美術展覧会』を開催します。この展覧会活動は1943年(昭和18)の123回展まで続きました。

1972年(昭和47)、「美術展示館」を「上野の森美術館」と改称、開館記念展『桃山・江戸・明治300年の美術』を開催、以後『ニューヨーク近代美術館展』をはじめとする国際展も開催するなど、広く活動を続けています。

1988年(昭和63)、協会設立100年を記念して、58年の長きにわたって総裁を務められた、高松宮殿下のご遺志を継いで、「高松宮殿下記念世界文化賞」を創設、翌年10月、第一回の授賞式典を行いました。

そこには、世界の平和と芸術の発展に貢献することを祈念した本財団の精神が一貫して流れています。