ユッスー・ンドゥール

Youssou N’Dour

プロフィール

  ダカール出身の作詞家・作曲家・歌手。グリオ(語り部)の家系に生まれ、12歳から音楽活動を始める。西アフリカ固有のリズム「ンバラ」をモダンにアレンジし、伝統音楽にさまざまな民族音楽や欧米ポップ・ミュージックのエッセンスを取り入れ、1980−90年代の「ワールド・ミュージック」ブームを牽引。1985年、ピーター・ガブリエルやポール・サイモンらが参加したアルバム『ネルソン・マンデーラ』で世界的アーティストの地位を築いた。2004年発表のアルバム『エジプト』でグラミー賞受賞。2011年、政治活動に専念するため音楽活動を一時停止したが、二年半後に復帰。日本ではホンダ・ステップワゴンのCMソングで有名だが、2006年に10年振りの来日公演。今年4月、最新アルバム『アフリカ・レック』が日本でも発売された。セネガルから世界文化賞の初受賞。

詳しく

 やや鼻にかかった伸びやかな高音、力強くソウルフルな歌声…。セネガルに古くから伝わる音楽や思想を伝承するグリオ(語り部)の家系に生まれ、12歳から音楽活動を始めた。
 父は音楽の道に進むことを反対した。「当時は音楽を職業にすることは誰もが眉をひそめることでした。しかし私は音楽に魅了されたのです」。1979年にグループ・バンド「エトワール・ドゥ・ダカール」(1981年に「シュペール・エトワール・ドゥ・ダカール」に改称)を結成、国民的な人気歌手となる。
 西アフリカ固有のリズム「ンバラ」をモダンにアレンジし、伝統音楽にさまざまな民族音楽や欧米ポップ・ミュージックのエッセンスを取り入れ、1980−90年代の「ワールド・ミュージック」ブームを牽引。
 1986年、ピーター・ガブリエルやポール・サイモンらが参加したアルバム『ネルソン・マンデーラ』を発表し、その後『ザ・ライオン』(1989)や『セット』(1990)などの名盤を制作。スティングら大物との共演もあり、世界的アーティストとしての地位を築いた。2004年リリースのアルバム『エジプト』でグラミー賞を受賞。イスラムの信仰を歌った内容で、「最も心に残るアルバム」という。
 ジャズやブルースなど黒人音楽のルーツをたどるため、奴隷貿易の拠点だったダカール沖合のゴレ島を出発、米国、欧州を巡回してゴレ島に戻るまでの演奏旅行を追ったドキュメンタリー映画『ユッスー・ンドゥール 魂の帰郷』(2007)は大きな反響を呼んだ。
 「ゴレ島を出た奴隷たちは自分たちの音楽を米大陸に持ち込み、世界に広めました。それがジャズであり、キューバ音楽なのです」
 2011年、政治活動に専念するため音楽活動を一時停止したが、二年半後に復帰。祖国のために「リーダーの役目を果たした」のだという。また、基金を設立し、エイズとマラリアの防止にも尽力する。
 日本ではホンダ・ステップワゴンのCMソング『オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ』で認知度を高め、2006年に来日公演を行ったが、「ウォロフ語の歌詞で独特のリズムなのに、理解を持ってくれた日本の観客はすばらしい」。日本との縁は、坂本龍一のアルバムに参加したことから始まったという。
 セネガルから世界文化賞の初受賞となるが、「音楽や芸術に国境はなく、私も国境を持ちません。どこで演奏しても本質は変わりません」。今年4月に最新アルバム『アフリカ・レック』が日本でも発売された。

略歴

  1959 セネガル・ダカールに生まれる
  1971 12歳から音楽活動を開始
  1979 エトワール・ドゥ・ダカール結成(81シュペール・エトワール・ドゥ・ダカールに改称)
  1986 アルバム『ネルソン・マンデーラ』をリリース
ニューヨークで初公演
  1989 初の国際的アルバム『ザ・ライオン』をヴァージン・レコードからリリース
  1991 ユニセフ親善大使
  1992 『アイズ・オープン』が初めてグラミー賞候補となる
  1998 ワールドカップサッカー・フランス大会の公式讃歌『勇者たちの門』を制作
  2000 国連食糧農業機関(FAO)親善大使
  2003 スタジオジブリ配給のアニメーション映画『キリクと魔女』で音楽を手掛ける
  2004 アルバム『エジプト』がグラミー賞受賞(ベスト・コンテンポラリー・ワールド・ミュジック・アルバム)
  2006 「東京の夏」音楽祭にシュペール・エトワール・ドゥ・ダカールが来日公演
英国での奴隷制度廃止を描く映画『アメージング・グレース』に出演
  2007 ドキュメンタリー映画『ユッスー・ンドゥール 魂の帰郷』公開
  2008 フランスのシラク財団名誉委員に就任
  2011 セネガル大統領選挙立候補のため演奏活動を休止
エール大学から名誉音楽博士号授与
  2012-13 セネガル文化観光大臣
  2013 演奏活動に復帰
ポーラー音楽賞受賞
  2016 34番目のアルバム『アフリカ・レック』リリース
  2017 『アフリカ・レック』日本盤発売